風力発電の風速と発電量の関係
小形風力発電機の風速と発電量の関係ってわかりにくいですよね。
しかし、これが事業収支を考える上での根拠となりますので、とても重要です。風力発電の成功の鍵は、この風速と発電量の関係を解くことではないかとすら思います。そこで、まずC&F製の風力発電機CF20JAPANで見てみましょう。
メーカーが公表しているデータは、次のようなグラフになっています。
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CF20 JAPANのパワーカーブ
仮に上記のグラフから算出しますと、例えば風速が6m/sのところで見ますと、出力は6kwくらいですよね。
では、平均風速6m/sの場所に設置したら、6kw×24(h)×365(日)で52,560kwhの発電量になるかと推測されます。
次に下のグラフから算出してみましょう。
CF20 JAPANの年間発電量と年間平均風速
ここでも年間平均風速6m/sの位置で見てみますと、65,000kwhくらいにはなりそうです。では、果たしてそのような計算であっているのでしょうか?上のグラフと比べて高い数字を示しています。どれが本当なのでしょうか?それをモニタリング実データより検証してみます。
じつは、この年間平均風速という表記が落とし穴になっています。
日本のどの場所でも、毎日いつも一定の風が吹くような場所はありません。つまり、年間平均風速に時間をかけて発電量を算出することは、目安となってもあまり正確な数字ではありません。
実際は、瞬間風速に対する発電量の積分でしかないからです。以下は、ある場所の今月の発電量の推移です。
緑のラインが風速。青のラインが回転数RPM。赤のラインが発電量です。こうしてみると風速があって回転数がある日は、発電量が高いのは間違いないと分かります。しかし、日々ばらつきがあるのも確認できます。例えば、11月19日は、最も高く平均風速9.01m/sあって、回転数RPMが83.49。発電量が459kwhであったことがわかります。買取価格が55円なので、一日で25,245円の売上でした。しかし、発電量が100kwh未満の日もあります。そのような日の売上は、5,500円にもならなかったということになります。
ちなみにこの11月の平均風速はというと5.24m/sです。これは、NEDO風況マップの数字などではなく、実平均風速です。11月1日から25日までの発電量の累積合計は、6,525kwh(358,875円)です。このペースは、上記のグラフと比べてどうでしょうか?
仮に毎月5.24m/sの風が吹いていると仮定すれば、6,525kwh×12(月)で78,300kwhとなるのでしょうか?
しかし、そうはいきません。なぜなら、日本では、冬に風速が強くなり、夏には風速が弱くなるからです。
まとめ
以上から分かることは、まず発電量は一定の回転数RPMによって決まるということ。そして、日々の回転数RPMの累積であるということ。さらに、メーカーが示す風力発電機の性能は、およそ正しいかむしろ低めということ。平均風速で5~6m/sとなるような日、つまり回転数RPMが70~80程度で一日200kwh程度以上発電する日が何日ある場所なのか。そのような視点で場所を選ぶことが重要だと考えます。